医療・健康コラム

<第2回> ご存知ですか?
MCI(軽度認知障害)について

当院では専門スタッフによるMCIスクリーニング検査を行っていますが、MCIのことをご存知でない方もいらっしゃるかと思います。今回のコラムでは「MCI(軽度認知障害)」についてご紹介します。

※出典:「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」から

MCI(軽度認知障害)とは?

MCI (Mild Cognitive Impairment :軽度認知障害)とは、認知症と完全に診断される一歩手前の状態です。放っておくと認知症に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性があります。

MCIは健常な状態と認知症の
中間の状態

MCI は健常と認知症の中間にあって、その後の対策次第ではどちらにもなりえます。

  • 「もの忘れ」が多くなってきた気がしたら

MCIでは、記憶力に軽度の低下がみられる場合が多く認められます。以前と比べてもの忘れが多いと感じる場合、ご家族や周りの人からもの忘れを指摘されることが多くなった方はもの忘れ外来への受診をおすすめします。ただ、日常生活(家事や移動、買い物、金銭管理など)には支障がでていない場合が多く、今後必ず認知機能が低下するというわけではありません。

  • 早めの対策で認知症を予防しましょう!

MCIでは、1年で約5〜15%の人が認知症に移行する一方で、1年で約16〜41%の人は健常な状態になることがわかっています。そのため、早期から認知症予防の対策を行っていくことが重要であり、適切な認知症予防策を講じることで、健常な状態への回復や認知症への移行を遅らせることが期待できます(下図参照)。

MCIにおける早めの対策が
認知症予防のカギ

MCI外来のご案内

船小屋病院ではMCI外来を行っております。
まずはお気軽にご相談ください。

当院の外来は予約制です。受診の際は、まずお電話にてご予約ください。

予約電話番号
0944-62-4161

受付時間 9:00~11:30 
月曜日〜金曜日
※第2・第4土曜日(祝日除く)

<第1回> 認知症の進行?重大な病気を見逃しているかもしれません

「困ったなあ。最近、婆さんの認知症が急に進んだ。どうしよう。」

こんなご相談を患者様のご家族からいただきました。
皆さんは、どうされますか?次の症例を一緒に考えてみましょう。

Mさん 85歳 女性 
混合性認知症の場合

  • 81歳より、記憶障害が出現する。
  • 82歳から、同じ食材を毎日購入するようになった。
  • 84歳には調理ができなくなる。

自宅のマンションが見える範囲しか外出できなくなり、物盗られ妄想が悪化した。急須を直接ガスコンロにかけ出火の危険性も出現した。配食弁当を委託するが受け取りができないため中止した。この頃になると、ガスコンロや電子レンジも使用できない事も多く、迷子になる為に外出もできず自宅に閉じこもる生活が続き認知機能はますます悪化した。

85歳の春より、せん妄が出現した。30~40kgある食卓のガラスのテーブルを取りはずし怪我をする。窓に向かい大声で怒鳴る。また、ポシェットに通帳と財布を入れて家の中を徘徊し何度も通帳や財布の残金を確認し通帳はボロボロになり、物盗られ妄想に支配された。また転倒し頬部を打撲、ガラスのテーブルを落とした際に下腿をケガする等、外傷が絶えない状況で目が離せない為に令和4年5月より老人保健施設に入所するに至る。

入所後、それまでできていた単純な生活動作にも混乱しできなくなり、せん妄は悪化し続けた。
主治医は至急にて検査の指示を出した。

さて、この方に、どのような変化が起きているのでしょうか?

答え:慢性硬膜下血腫(下記 図) 一見、認知症が増悪しているかのように見えますが、脳の硬膜の下に血種が出現しています。大きな血種で、至急の外科手術の適応になり即日、手術し回復に向かいました。

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